前触れもなく広げられた息吹の会話に、美聖は無意識に彼女へと顔を向ける。


伊達眼鏡越しに見る息吹すら眩しくて、美聖は目を瞑ってしまいそうになる。



「魔法で綺麗に着飾ってなくても、ありのままの自分を王子様は見つけてくれたでしょう?」



息吹も美聖へと顔を向け、嬉しそうに微笑んだ。




「美聖くんは、いつも私を見つけてくれる」




タクシーのデジタル時計が0時00分になる。魔法は解けた。真実の愛が始まるのはこれからだ。


美聖は横目でデジタル時計を確認してから、隣の息吹の顔を覗き込んで囁く。