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息吹がいなくなった美聖の部屋はあまりにも閑散としていた。


ひとりで過ごしていた方が長いのに、美聖はもう、ひとりでの暮らし方を忘れていた。




「……大丈夫かな」




空っぽの部屋で零れた美聖の独白はすぐに消える。リビングのソファーからベランダへと顔を向けると、息吹と過ごした時間が思い起こされる。



息吹の笑った顔。怒った顔。拗ねた顔。泣いた顔。寝顔。そのどれを取っても、美聖の心をここまで満たすものは他にない。



美聖と息吹のスキャンダルは連日メディアも取り上げるほどの話題となった。美聖も息吹も代表に言われた通り沈黙を貫き続けた。