「今日、"終わったら"一緒に帰ろう」




息吹の語尾がわずかに震えを見せる。

美聖はそんな彼女の手を取る。穏やかな笑みに反してひどく冷たい指先を、美聖は暖かな自身の手で包み込む。




「待ってる」

「……ありがとう」



息吹は微笑むと、目を閉じて深く呼吸を繰り返す。それからゆっくりと薄い瞼を持ち上げる。

──その先でかち合った彼女の瞳は既にcoc9tailの黛 息吹になっていた。




「いってきます」

「いってらっしゃい」




美聖は、そんな息吹を笑顔で見送った。泣きそうになるのを必死で堪えながら。