「それで?君ら双方のマネージャーはなんて?」



不意に触れられた核心に、美聖の目が動揺で見開く。そのささやかな動きに周音は察しがついたように目を細めて笑みを深めた。




「まあ、そうだろうね」

「……何とかしようともがいてます」



美聖の掠れた声に、周音が「大袈裟だな」とまた言葉を重ねる。そして、足を組み替えると「柊」と風が吹き抜けるような優しい声で美聖を呼んだ。



「まあ、その件はおれに任せて。息吹に気づかれないように手を回すぐらいが兄としてちょうどいいんだ」



周音の目の下にある3つのほくろが、彼の表情が変わる度、楽しそうにそ美しさを引き立たせる。




「それに、柊のことも大変気に入ったからね。やっぱりおれたち兄妹ってことなんだよ」




美聖は、そう言って嬉しそうに歯を見せて笑う周音が、初めて親しい人間のように思えた。そして、息吹との笑みが重なって、ああ、改めてふたりは兄妹なんだな、と実感した。