「ぶはっ」
思いきり吹き出した。くくっ、と笑いを噛み締めながら周音の目の奥が緩やかに色を穏やかに染める。
「ごめんごめん。柊があんまりにも健気で意地悪しちゃった」
「え」
ふうー、と細い息を吐き出しながら周音が呼吸を整える。それから、指先で前髪をかきあげると再び背もたれにゆったりと寄りかかる。
「おれと息吹はお互いに干渉しない。だから、柊がおれに許可を取る必要なんてないんだよ」
そう言いながら周音が両手を太ももの上に置き、指を交差にして組む。柔らかな微笑に反して、貴族のような雰囲気に、美聖は緊張が走る。
