担当の送迎もマネージャーの仕事なので息吹が美聖のもとへ住むことになったら、必然的に息吹のマネージャーである木村には打ち明けなければならない。それは片平へも同様だった。


誤魔化しようはいくらでもあるのかもしれないが、息吹も美聖も性格上、そういったことができないタイプだった。




『つまり、ふたりはそういう関係ということですか?』




バックミラー越しに片平が血走った眼で、美聖を見つめてくる。



「信号青だよ」と美聖が言えば、片平が「青は進めぐらい知ってますよ。それで、おふたりも青ですか?」なんてくそつまらないジョークまで入れてくる。



美聖は背もたれに後頭部を預けつつ、「いや」と零しながら鏡越しに交わらせていた片平との視線から逃れる。