「最後までその期待に応えさせて。」

「、」




息吹の力強い言葉に、美聖が弾かれたように顔を上げる。


目が合うと、彼女はあまりにも綺麗な顔を優美に緩ませる。





「泣かないで。私はファンを笑顔にするためのアイドルだから」




ね、と微笑む息吹に、美聖は涙を零しながら、うん、と頷く。


スタッフは、もう時間だと告げなければならないのに、その美しすぎる空間に入るのが憚られる。




「(王子えぐっ)」

「(息吹さんと美聖さんの絵面やばいだろ…)」




「ありがとう」と美聖が眉を垂らして笑う。


周りがその王子の笑みに心臓を撃ち抜かれている中、息吹は決してアイドルの立場を揺らがせなかった。