もう、この姿を、追いかけられなくなる日がくる。刻一刻と迫っている。


美聖は彼女の瞳を見つめ返し、実感する。





「……ファンです、ずっと……」




息吹の前に立つために拭った涙が、再び瞳から零れ落ちる。


映画のワンシーンかと思うような美聖の麗しい涙に、息吹の後ろにいたスタッフが息を呑んだ。




「……息吹さんの、ファンです……」




溢れ出した先で喉の奥に詰まったように、繰り返し、ファンだと告げる美聖は、切実だった。


息吹は握手をしたまま、柔らかく頷く。それから、しっかりと美聖の瞳を見つめ返して言う。