「ありがとう。さすがですね、女心がよくわかる美聖くん」

「え?」



美聖は言われた意味がわからないらしく、首を傾げている。当たり前のようにコートを女性に着させ、髪の毛までご丁寧に扱う。



息吹はコートの下から手を伸ばし、美聖の手首を掴む。



「監督から早めの休憩もらったの。撮影の時間押しちゃってるし、美聖くん、この後も忙しいでしょう?ご飯食べに行こう」




言いながら手首を掴んだ手を下へ滑らせていく。無防備に広がる美聖の手のひらに息吹の手を流れ込ませ、その手のひらを握る。


息吹よりも大きくて熱い美聖の手のひら。