「もともと空っぽなのに、年内解散を発表してから、息吹は誰よりも先に荷造りまで始めてる」




瑞希の笑顔は、哀しさや寂しさをひた隠しにするために作られている。その中に微かに混じる罪の意識を、美聖は嗅ぎとることはできない。




「息吹は優等生過ぎるところがあるから」




そう言って笑った瑞希は「実はだらしないところもたくさんあるけどね」と誤魔化すようにおちゃらけた。



それから、美聖の背中をぽん、と叩く。




「今日の息吹、実はいつもより浮き足立ってるんだよ。木村さんも気づいてないけど、私たちはわかる」




息吹が話し合いを終えて、あたりを見回し、美聖の姿を見つけると手を振ってやってくる。

美聖は、それが可愛すぎて純粋にびっくりする。