3本目の番宣も無事終えた美聖は、片平に一言入れてタクシーに乗り込む。片平とは一旦解散で、事務所に合流だ。



「すみません、途中で銀座寄ってもらっていいですか?」

「かしこまりました」



運転手に銀座にある店名を告げて、美聖はその間だけ少し仮眠を取る。夜からの仕事のために今寝ておかないと後々に響く。



店に着き、午前のうちに電話で予約しておいたギフトボックスを受け取る。




「待って、あれ、柊 美聖じゃない……?」

「え?うそ、えっ」



変装しているにも関わらず、店の前でファンに掴まり、美聖は騒ぎになる前に握手をしてタクシーへと逃げ込む。



余所者の美聖があの至高のcoc9tailの現場に顔を出すのだ。差し入れのひとつもしなければ、美聖の何かしらが確実に死ぬ。


低糖質で身体に優しいと有名のスイーツを手に、美聖は再び事務所に着くまで目を閉じて眠りに落ちた。