「これはっ、だめ!俺の宝物だから」
「ちぇー。なんか柊さん中学生みたい」
「え?」
「好きな子と密かに文通しててそれが友達にバレそうになって慌てる中学生男子みたいですよ。あ、今どき文通なんてしないか」
翠の言葉に、美聖は思わずなるほどと感銘を受ける。
その美しい顔はハッとしたように頬を赤らめ、目を輝かせている。
「文通……!」
と、嬉しそうに呟いた美聖に、翠は目を細めて言う。
「柊さん何閃いたみたいな顔してるんですか」
「あ、えっ?いや、文通ってなんか、ほら、いいなあって」
「この時代に誰とするんです?」
「…………片平さんと」
「よりによってマネージャー」
翠の言葉にまた片平が「僕と美聖さんは仲良しだって言ってるでしょ!」と噛み付く。
美聖はそんなふたりの言い合いを聞きつつ、いつか息吹としたいリストの中に『文通』の2文字をそっと付け加えた。