翠の言葉に、前方に座っていた片平が振り返り、くわ!と叫ぶ。
「極楽浄土並の夢ですよ!僕と美聖さんの信頼関係なめないでください」
「それとこれは別じゃないですか」
急に言い合いを始めてしまったふたりに、美聖はおろおろする。
普通なら女優と他マネージャーが言い合いをするなんてありえない。しかも他事務所の女優に噛み付くマネージャーなど。
「ていうか、柊さんとスイーツの組み合わせは有りだけど、片平さんはないでしょお」
「僕は美聖さんのおかげで今じゃスイーツ界の神童と呼ばれてるんです」
「へえー!で、誰に?」
「はい嘘ですすみませんでしたね!自称ですよ!」
「ぶはあっまじウケる」
だがこのふたり、割と撮影時からこのような状態なのだ。げらげら笑う翠も疲れが飛んだようだ。
美聖が安堵していれば、ジャケットのポケットに入れていたスマホが震える。