美聖のスマホに女神から逆通信がきたのは、夜であった。片平が運転する車では、結局、息吹が出ることなかったのだ。



「!!!」



お風呂上がりの美聖は髪を乾かすのも忘れて、スマホに飛びつく。画面に輝く【息吹様】の文字に、全身に緊張が走る。


早く出なければという思いと、心の準備が忙しない。明らかに震える親指で、通話ボタンをタップする。




〈もしもし? 美聖くん?〉

「(神がっ、俺の耳元でっ)」



美聖は、感動のあまり口元を手で覆う。歓喜で溢れそうになる涙をぐ、と堪える。


きっと人類で初めて月面着陸をした人の気持ちはこんなだったのだろうな、と感慨深い気持ちを得る。