勇気どころか臓器のふたつやみっつを出すほどの緊張と、その末に破茶滅茶な声帯に、それを、最もかっこよく見てもらいたい息吹に見られて聞かれて、美聖は、死ぬほど恥ずかしくなって、顔中に熱が集まる。




その熱も、頬を包み込む息吹の手にバレるのかと思うとさらに恥ずかしい。




「うう、」と泣きそうな声が美聖の口から漏れ出る。ぎゅむ、と目を閉じる美聖に。





「ぶはっ」




吹き出すような笑い声が聞こえて、反射的に目を開けて目の前の息吹を見やる。



息吹は堪えきれなくなったようにけらけらと声を立てて笑う。そっと美聖からその手が離れて、お腹を抱えて笑う姿は、アイドルの息吹からは想像できない。