美聖の大きな手に、彼女の小さな顔はすっぽりと包まれてしまう。


テレビ局の簡易休憩所で、今や芸能界の絶対なる人気を誇る男女が、互いの手で、互いの顔を包み込みあって、見つめあっている。



「息吹さん、俺と、」


美聖の真剣さに、息吹も瞬きひとつせず、美聖を見つめている。


美聖は、今までにない緊張で乾いた喉を無理やり動かす。もう、間違わない。息吹と、離れたくない。





「俺と、お友達(、、、)になってください!!!」





美聖の声は緊張のあまり音程が転んで、譜面から飛び出た不協和音のようになる。