「三輪さん、ごめんなさい少し休憩ください」

「あ、うん。もちろん、ごゆっくり」



三輪は、好奇心を隠しきれずに、息吹を抱きしめる美聖を凝視しながらも、その場を後にした。



「美聖さん」



息吹の頭に顔を埋めたまま動かない美聖に、彼女は声をかける。しばらくしてから、「…はい」とだけ返ってくる。



「この格好じゃ話せるものも話せないので、一旦離れてもらっていいですか?」

「嫌です」

「え、」

「俺、今我に返ってとんでもないことしたと思ってます。今日息吹さんが音楽番組で三輪さんと特別デュエット組むことも知ってたのに、さっき、そのことも全部頭から抜け落ちてて、取られたくなくて、」

「……」

「恥ずかしくて今の顔、息吹さんに見せられない」