翠が美聖の元まで戻り、彼の視線の先を追いかける。彼女もすぐに息吹を見つけ、下唇を噛む。
「柊さん、行きましょう」
翠が美聖の腕を掴む。そこで初めて美聖が翠を見下ろす。その目は、息吹を見つめる時ほど熱を帯びていない。
美聖は静かに翠の手を自身の腕から引き剥がす。
「……ごめん、先行ってて」
「え?」
「俺、やっぱり最近死んでたかも。でも原因がわかったからもう大丈夫。心配かけてごめんね」
「柊さん、」
美聖は戸惑う翠へ笑みを残して、息吹のもとへ歩き出す。一歩ずつ、確実に。
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