ガラス張りの扉越しに息吹を見ているだけの美聖の目頭が熱くなる。苦しくて、下唇を強く噛み締める。
息吹は涙を拭うと、その手で、ばちんと頬を叩く。大きく深呼吸をして、立ち上がるともう一度練習を再開する。
その目には涙の名残りはあっても、弱さなどなかった。言い訳もなかった。ただひたすらに、ひたむきだった。
美聖の目に映る彼女はどうしようもなく美しかった。
《《%color:#858585|───私たちの邪魔するつもりなら許さないから》》
「──……」
美聖は踵を返すと走り出す。
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