その美しい動きに惹き込まれる。鏡越しで見る彼女の魅せる表情に目を奪われる。


美聖の中の時が止まる。それに反して心はぐらりと揺れる。





「……あー、違う、全然違うよ、」




息吹は悔しそうに呟くと、振り付けをピタリと止めて、流しっぱなしになる音楽を止める。



彼女は無音のまま何度か同じ振り付けをゆっくりと確認する。



ダンスは完璧なはずだ。彼女はその先にある表現に悩んでいるのだろうか。美聖にはさっぱりわからない。



息吹が座り込む。思い詰めるように額に手を当て、悔しそうに下唇を噛み締める。ただ、思考は止めない。彼女の力強い瞳は考え続けている。