それでも、とにかくいつも通りに戻ろうした。




「だったら帰れば?」




と美聖の背中に返事がきてしまったことで、その時初めて誰かに聞かれていたのだと気がつく。




美聖が慌てて振り向いた先には───息吹がいた。




息吹はスポットライトなどなくても異彩を放っていた。


しかし、今、美聖の前に立つ彼女は、カメラに向ける笑みなど一切なく、ただひたすらに苛立ちを滲ませていた。




「なんでこの仕事受けたの?」

「……」

「私たちの邪魔するつもりなら許さないから」

「……」