ふたりにスタッフの指示が入り、監督の声でカメラが回る。
「っ、」
息吹の瞳に吸い込まれる。
セットされた窓枠越しに、彼女のすらりと伸びた細い手が伸びてくる。美聖はその指先に自身の指先を重ねなければならないのに、思うように身体が動かない。
「はいカット。美聖くん大丈夫?もっかい確認しようか」
「……すみません、」
耳の裏から熱がせり上がってくる。何度も美聖だけか失敗を繰り返し、羞恥心と、自暴自棄が積み重なる。
情けない自分を認めたくなくて、強がりが裏目に出てはまた失敗する。
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