そして美聖は、その特典映像になる特別版のMVに出演予定になるということ。
ネット上で公開されるのは彼女たちだけのMVになると聞かされた時、美聖は内心安堵していた。
一際カメラや人の多いそこから監督の声が飛んでくる。
「じゃあもっかい、頭から」
スタッフが忙しくなく動き回るその先、美術セットと煌びやかなスポットの真ん中で、ひとりの女の子がカメラに向かって流れるような動きを魅せる。
「───……、」
美聖は目を奪われた。
真っ黒で艶やかな髪を揺らし、透き通るような真っ白な四肢を自在に操り、小さな顔に大きな瞳が、カメラに向かって微笑んでいる。