だけど私たちが子どもだからか、どうにかして言いくるめられないか、言い逃れられないかと必死になっているのが手に取るようにわかってしまった。
埒が明かないので、私はゼノの前に出て自分よりもうんと背の高いメイド二人を見上げる。
「お仕事に、戻らなくていいの?」
「え……」
「あ、あの……」
「お仕事中じゃなかった?」
首を傾げると、メイド二人は戸惑いと安堵が混じった視線をお互いに交わした。
じっと黙り込んで見つめていれば、それに促される形でいそいそと温室を出ていこうとする。
「アリアお嬢様……」
どうして行かせるのかと納得がいっていないゼノと、出方を観察しているルザークに挟まれる私は、裏口に手をかけたメイド二人に言葉をかける。
「お父様は、おねえさんたちは選ばないと思う。アリアもいやだなぁ、どっちもお母様って呼ぶのは」
にっこりと笑って告げた皮肉に、二人は顔を引き攣らせて逃げるように温室を出ていった。