侯爵が愛人を大切にするあまり、お母様は夫人でありながらも肩身の狭い思いをしていたのだ。

 務めとして子を妊娠したものの、侯爵はまるで見向きもせず、お母様が産気づいたときには寝室で愛人と過ごしていたそうだ。

 そして私を出産してすぐに亡くなり、ちょうど皇帝による承認が終わった直後に知らされたため、クリストファーは一早く侯爵邸に駆けつけることができた。

 逆をいえば、早く駆けつけたためにお母様がどんな扱いを受けていたのか、その目で知ることになる。

 クリストファーは怒りのあまり寝台にいた侯爵とその愛人を殺め、医者も呼ばずお母様を放置していた使用人たちもすべて殺した。

 それから息絶えたお母様の腕の中にいた私を連れて公爵領に帰ったのだった。