事前連絡もなく突然やってきたと思っていたロザリン兄弟は、実はしっかり封書を送っていたらしい。
ただ、いつ頃来るかの日時は明確に記載されていなかったようである。
貴族としての立場では、公爵と侯爵という位の中でも特に格式高い家柄同士なわけだけど。
少なくとも執務室で共にいる二人からは、堅苦しい雰囲気は感じなかった。これも友人同士がなせることなんだろうな。
「以前便りで話したと思うが、うちの弟にお前のところの騎士団を見せてやってほしいんだ」
マイスターの話題が一息ついた頃、不意にリューカスさんがそう言った。
「構わない」
なんて返すのだろうと思っていれば、クリストファーはあっさり承諾したので驚いた。
(あれ、わ、私もまだ見たことないんですが!?)
騎士団どころか、この本館すら自由に見学したことはない。
最近ようやくクリストファーとの面会が増えたといっても、好きに散策できるはずもなかった。