クリストファーの執務室で菓子を堪能した三日後。私はまたジェイドに連れられて本館に来ていた。
執務室に入ると事前にリクエストしていた菓子が早くも並べられており、クリストファーはもりもり食べる私をじっと眺めていた。
(すっごい見てくる。そんなに見るなら、一緒に食べればいいのに)
食事中にじっと見られ続けるのが落ち着かず、私は手に持っていたフォークに一口サイズのパウンドケーキを刺して前に突き出した。
「お父様、食べたいの?」
「………」
すると、クリストファーはほんのり瞳を開く。
「ケーキ、美味しいよ」
「いらない」
クリストファーは視線を逸らし、こくりと紅茶に口をつける。
さすがにそこまで距離が縮まったとは思っていませんよ。ちょっと試してみただけで。
そして私はクリストファーに差し出していたケーキの欠片をぱくりと口に入れた。