視界いっぱいに広がる幾多の光。
そのどれもが眩しい輝きを灯していた。
「――わ」
「わ?」
「わあああああ……!」
ルナキュラスの花畑に到着して早々、私は目の前の景色に夢中になっていた。
肌を刺すような寒さも吹き飛ぶくらいに神秘的なルナキュラス。
時々吹いてくる北風で目を細めてしまうことすら惜しいと感じてしまう。
「俺もこんなに広々としたルナキュラスの花畑は初めてだよ。とっても綺麗だね」
「うん、うん! すごく!」
「あはは。よかったねえ」
スチルだけでも圧巻だったのに、実際の花畑は言葉を失うほど美しい。
そんないつもの何倍もはしゃいでしまっている私を、ルザークはニコニコと微笑ましそうに見ていた。兄のような、保護者のような眼差しである。
(まさか来れると思わなかったから……本当に、本当に綺麗)
晩餐会で何気なく出た話題だったのに、クリストファーはルナキュラスの花畑に行くことを許可してくれた。
何よりもお客様であるリューカスさんやルザークが興味を示していたから、こんなにもあっさり来ることが叶ったのだろう。
(こういうの、お客"さまさま"って前世ではいうんだよね)
花畑も本館からすぐの場所にあった。というか敷地内にあるので私たちのほかに人はおらず完全に独占状態だ。
(……お礼、言いたいな)
「お父様!」
私は高ぶった気分を抑えきれないまま、敷地内の移動用馬車の前に佇むクリストファーに駆け寄った。