♢
「では4名様、いってらっしゃい!」
目の前の不気味な雰囲気とは全く合っていない明るい声で案内され、私たちの前に並んでいた人たちが扉を開けて入っていく。
すぐに「ぎゃーっ!」という悲鳴が聞こえて、心臓がドキッと跳ねた。
「おい、大丈夫か? ほんとに好きなんだよな、お化け屋敷」
隣にいた桐谷くんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「好きだよ! お化け屋敷は怖いから好きなの!」
「はあ? なんだそれ。ま、好きならいいけど……」
お昼ご飯を食べてジェットコースターに乗ったあと、私たちはこの遊園地で一番怖いと言われているお化け屋敷に来ていた。
病院がモチーフになっているらしく、入る前から照明は落とされていてすでに暗い。
壁には赤いものがそこらじゅうに塗られている。
楽しみだけれどとても怖いのも事実で心臓が痛い。
ちらりと視線を落とすと、手のひらがぷるぷると震えていた。
「桐谷くんは怖くないの?」
「そりゃ怖いけど、俺より……」
俺より?
不自然に途切れた言葉の続きを待っていると、クルーさんに声をかけられた。
「2名様ですね! いってらっしゃい!」
「行けるか?」
「うん!」
なんだか心配そうな顔をしている桐谷くんに頷いて、一緒に扉を開ける。
少し進むと扉が閉まり、一気に暗くなった。
「では4名様、いってらっしゃい!」
目の前の不気味な雰囲気とは全く合っていない明るい声で案内され、私たちの前に並んでいた人たちが扉を開けて入っていく。
すぐに「ぎゃーっ!」という悲鳴が聞こえて、心臓がドキッと跳ねた。
「おい、大丈夫か? ほんとに好きなんだよな、お化け屋敷」
隣にいた桐谷くんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「好きだよ! お化け屋敷は怖いから好きなの!」
「はあ? なんだそれ。ま、好きならいいけど……」
お昼ご飯を食べてジェットコースターに乗ったあと、私たちはこの遊園地で一番怖いと言われているお化け屋敷に来ていた。
病院がモチーフになっているらしく、入る前から照明は落とされていてすでに暗い。
壁には赤いものがそこらじゅうに塗られている。
楽しみだけれどとても怖いのも事実で心臓が痛い。
ちらりと視線を落とすと、手のひらがぷるぷると震えていた。
「桐谷くんは怖くないの?」
「そりゃ怖いけど、俺より……」
俺より?
不自然に途切れた言葉の続きを待っていると、クルーさんに声をかけられた。
「2名様ですね! いってらっしゃい!」
「行けるか?」
「うん!」
なんだか心配そうな顔をしている桐谷くんに頷いて、一緒に扉を開ける。
少し進むと扉が閉まり、一気に暗くなった。