「なあ、そろそろ飯食わねえ?」
「そうだね、私もお腹減っちゃった」
「なんか食いたいもんある?」
「えっ、うーん……」


遊園地のパンフレットを見ながら考える。
洋食から和食、デザートまでなんでもあるらしい。

選択肢がたくさんあることはいいことだけれど、私には困ってしまう。


「……桐谷くんはなにか食べたいものある?」
「絶対そう言うと思った」
「えっ、な、なんで!?」


予想していなかった返しをされ、それに加えて桐谷くんにじとっとした目で見られて焦る。


「人に本音言えない早坂が、自分の食いたいものあっさり言えるわけねえよなって」

「え、えー……さすが桐谷くん、だね……」


自分のことを理解してもらっていることに喜んでいいのか、まだまだ成長できていない自分に呆れるべきなのかよくわからず、変な返答になってしまう。


「で、何が食いたいの。いいから言ってみな」

「だ、だけど、桐谷くんも食べたいのあるでしょ? なのに私が言ったら……」

「べつにそれで決定するわけじゃねえから。お前ほんと気ぃ遣いすぎんだよ。ほら、言ってみ」

「え、ええっと……」


桐谷くんの圧に押される。
今までこんな風に言われたことがなくて、心臓がドキドキと激しく鼓動する。