「んじゃ、さっそく入場するか」
「うん、そうだね」


チケットを手元に用意して列へと並ぶ。
するとすぐに私たちの番がやってきて、遊園地の中へと入れた。


一歩進むとそこはもう別世界で、陽気な音楽と周りの空気で気持ちが上がる。


「わー! ジェットコースターいっぱいだ!」


見上げるほどに高い建造物だから、さっきまでも見えていたけれど、近くまで来るとやっぱり迫力が違う。

とても怖そうだけれど、そのぶん楽しそうでわくわくする。


「どれから乗りたい?」

「えっ、うーん……全部乗ってみたいけど、やっぱりあれかな」


そう言って、この遊園地でいちばん怖いと有名なジェットコースターを指さす。
すると隣で軽快に笑う声が聞こえた。


「ははっ、朝イチからそれかよ」

「だ、だってどれくらい怖いか気になるから……あ、そういえば今更だけど、桐谷くんジェットコースター乗れる人なの?」

「ん、フツーに好き。早坂ほどじゃないと思うけど」

「なっ……わ、私もそんな特別そういうわけじゃ……」

「あははっ、冗談冗談。それに俺から付き合うっつったんだから、早坂はそんなの気にしなくていーの」


楽しそうに笑う桐谷くんを見て、心がまた騒がしくなる。

遊園地の効果だろうか、彼のテンションがいつもより高い気がしてなんだか落ち着かない。

そう思いながらも話していると、目的のジェットコースターの待ち列までやってきた。