かっこいい、かわいい、オシャレ、きれい、素敵……

自分が少しでもそう感じたときは、いやもしもそう感じなくても、一般的にはそうだと思ったときは、相手の性別や年齢に問わず、必ず口にするようにしていた。

褒められて嫌な気持ちになる人は少ないと思うし、それどころか褒めた私の好感度が上がることが多いから。

それに私自身もそう言った言葉を口に出すのになんの抵抗もない人間だった。


それなのに今は、いつもなら脊髄反射のように出てくる言葉が言い出せない。


これはデートじゃないから。
付き合っているわけじゃないから。
桐谷くんに気があると思われたら嫌だから。


そんな言い訳じみたことをひとり頭の中で考えている。