「はー、わるいわるい。けどさ、重く考えすぎじゃね? 青木とかにも言ってねえの?」

「言ってない……」

「ふーん。あいつらとか喜んでついていきそうだけどな。特に東とか」

「……うん、私もそう思う」


中学生のとき、周りにいた友だちに散々バカにされた。


その見た目で絶叫系が好きなんて変わってる、とか。
本当はサイコパスなんじゃないの、とか。
男と一緒に遊びたいから言ってるだけでしょ、とか。


私の好きなものひとつでよくそんなに言えるなと思うくらいにたくさん。


ちがうのに、全部ちがうのに。
ただただ好きなだけなのに。


相手は冗談だったと思う。
私もそれくらいわかっていたし、最初は笑って否定して流していた。

だけどなにかするたびにその話を出されて、いじられて。
それって本当は悪意があるんじゃないのって言葉も投げられて。

何度も何度も、毎日毎日。
私の好きなものが少しづつ削られていった。
私が、削られていった。