「なんで? 誰かになんか言われたことあんの?」
「……うん。中学生のとき、すごくバカにされたから」


あははっと大きな笑い声が頭の中をこだまする。
1年以上も前のことなのに、今でもこびりついて離れない。


「つーことは子どもっぽいものってこと? それか意外なもの?」

「え? ええっと……」


話したくないって言ったのに、桐谷くんは気になるのかやめてくれない。
彼の圧に今にも流されそうだ。


「あ、あの! 私けっこう勇気出してNOって言ったんだけどっ」

「ん? あー、そういや言えてたな。えらいえらい」


まさか雑ながらも褒めてもらえるとは思えず嬉しくなる。
だけどそんな場合ではないと、すぐに首をぶんぶんと振った。


「そ、そうやっておだてても言わないからねっ!? それに私の好きなもの知ってどうするの?」

「んー、そりゃ付き合うよ」

「え?」


どういうことかいまいちわからず聞き返すと、桐谷くんが口を開く。


「早坂の好きなもん一緒にする。なにか知らねえけど。つか一緒にできるもんなの?」

「え、ええっと……」