うう……
なにを言っても反論される。

最初はちょっとムキになって言葉を返していたけれど、すぐにその気力もなくなった。

なにも言えないのに、心はどんどん焦っていて苦しい。
これはいけない癖だと気づいていても止められない。

なんとか取り繕って笑顔を作ろうとしたとき――


「早坂」


桐谷くんに名前を呼ばれて目が合った。


「え、な、なに……?」


どうして急に真剣な声で呼ばれたのかわからず不安になる。

なにを言われるんだろう。
なんて返したらいいんだろう。

そんな私の考えに気づいているのか、彼はまっすぐな声で言葉を紡いだ。


「俺、心配なだけだから」
「え……?」
「また変なこと考えてんじゃねーかと思って」


その言葉を聞いて息を吞む。
ドキドキと焦燥感に駆られていた心が少し落ち着いた気がした。


「そ、そっか……ごめんね、ありがとう」