「お前、スカートでもなんも気にせず座るから、大丈夫かって心配なんだよこっちは」


少し遠回しに言われた表現でも、なにを指しているかすぐにわかった。
顔に熱がぽぽぽっと集まる。


「は、はいてるからっ! いつも体操ズボンはいてるから大丈夫だよ!」

「んなの俺が知ってたらやべーだろ」

「そ、それはそうかもしれないけど……!」


まさかそんなことを心配されていたとはつゆほども思わず、恥ずかしいのと情けないのでいっぱいいっぱいになる。


もしかして今まで行儀の悪い女だって思われてた?
でもたしかに良くはなかったかも……


どうにかして桐谷くんからの評価を上げたい気持ちに駆られる。

なにかいい言い訳は……

プチパニックを起こした頭をなんとか回して考えるけれど、さっきの『体操ズボン』でもう在庫切れだった。


「早坂さ、そういう無防備なとこ気を付けた方がいいと思うけど」


その言葉を聞いて、桐谷くんが寝ていた姿を思い出す。


「そ、それを言うなら桐谷くんだって、さっきソファーで寝てたし……」

「俺は男だからいーの」

「で、でも! 最近は男の人でもいろいろ危ないって聞くし……」

「それでも変なのに狙われるのは女性の方が多いだろ」