「わっ、かわいい……」


こんなこと初めてだ。
桐谷くんの言う通り、本当に撫でてもらいたくなったんだろうか。

かわいいし嬉しいしで、胸がきゅーんと締め付けられる。


「懐いてんなあ」
「ふふっ、ちょっとは仲良くなれたのかな」


幸せをかみしめていると、突然手の中からするりと歩いていってしまった。
そしてそのまま、さっきまで桐谷くんが寝ていたソファーに寝転ぶ。


「気分屋だな」
「あはは……それがまたかわいいところだよね」


ちょっと寂しいけれど、しいちゃん的には満足したということだろうか。
しつこく追うのは我慢して地面に腰を下ろした。
すると桐谷くんも私の隣に座る。


「今日はスカートじゃねえから安心だな」
「え?」


突然そんなことを言われて意味がわからないまま、視線を下におろす。

今日は学校が休みだから制服じゃなく、Tシャツにジーパンだった。