……かっこいい顔、してるなあ。
まつ毛長い。
肌もきれい。

心の中でひとつひとつに感想を述べていると、ふと風がガレージの中まで入ってくる。
そよそよと優しく、茶色に染められた彼の髪の毛を揺らした。


……あ。
桐谷くんの頭になにか付いてる。


ソファーの繊維なのか、白くてふわふわしたものがくっついていた。
彼を起こさないよう、静かに慎重に手を伸ばす。

そこでふと、これってほかの人から見たら、まるで寝込みを襲おうとしているみたいじゃない? という考えが頭をよぎった。

伸ばしていた手を止めたとき――


「にゃー」
「わっ!?」


いつの間にか隣にいたしいちゃんの鳴き声で、大きな声をあげてしまった。


「ん……」


しまった、と思ってももう遅い。
眠そうに目を開けた桐谷くんと、ぱっちり目が合ってしまった。