「しいちゃん」


ガレージにつくと、バイクのサドルで日向ぼっこをしているしいちゃんがいた。
まぶしそうに目を細めながらも、気持ちよさそうな顔をして座っている。


これは邪魔にならないようにしないと。
どこら辺にいたらいいかな、ときょろきょろしていると奥で人が動く気配がした。


え、桐谷くん……?
いや、もしかしたら知らない人かもしれない。


ドキドキしながら奥を覗くと、そこにはソファーで眠っている桐谷くんがいた。
いつもの制服姿じゃなく、見慣れないオシャレな私服だ。


……よかった。


知らない人ではないことに安心する。
だけどまさか今日会えるとは思っていなかったから驚いた。

いったい何時からいるんだろう。
ぐっすり眠っている様子を見るに、結構前からいたんじゃないかと思う。

土曜日だというのに、桐谷くんも今日は暇なんだろうか。


「んん……」


目の前の彼が身じろぎして、心臓がドキッと反応する。
クラスメイトの、それも男子の寝顔を見る機会なんてそうそうない。

不躾だとは思いながらも、思わず彼の顔をじっと見つめてしまう。