♢
「いただきます」
「はい、めしあがれ」
サクッと音をたてたからあげは、昔と変わらない味がした。
ああ、これだ。
コンビニで買えるものでも、売店やレストランで食べられるものでもない。
母親が作ってくれるからあげは、どうして唯一無二の味がするんだろう。
ご飯がすすむ。
モグモグと食べ進めていると「ねえ結衣」と声をかけられた。
「最近、高校はどうなの?」
「普通だよ。友達……七瀬ちゃんたちの話したでしょ? 楽しくやってるから大丈夫」
母の心配が少しでも吹き飛ぶよう、にこりと笑って答える。
すると笑顔が返ってくるけれど、目はまだ心配だと訴えていた。
「あ、そういえばバイトは?」
「バイトも大丈夫。ホワイトだし、みんないい人だから」
「そう……」
母は頷くけれど、なにを思っているかはバレバレだ。
安心させるためになにか上手いことを言えたらいいんだけれど、いつも月並みなことしか話せない。
母親相手にも自分が迷子になっていると言ったら、桐谷くんは呆れるだろうか。
「いただきます」
「はい、めしあがれ」
サクッと音をたてたからあげは、昔と変わらない味がした。
ああ、これだ。
コンビニで買えるものでも、売店やレストランで食べられるものでもない。
母親が作ってくれるからあげは、どうして唯一無二の味がするんだろう。
ご飯がすすむ。
モグモグと食べ進めていると「ねえ結衣」と声をかけられた。
「最近、高校はどうなの?」
「普通だよ。友達……七瀬ちゃんたちの話したでしょ? 楽しくやってるから大丈夫」
母の心配が少しでも吹き飛ぶよう、にこりと笑って答える。
すると笑顔が返ってくるけれど、目はまだ心配だと訴えていた。
「あ、そういえばバイトは?」
「バイトも大丈夫。ホワイトだし、みんないい人だから」
「そう……」
母は頷くけれど、なにを思っているかはバレバレだ。
安心させるためになにか上手いことを言えたらいいんだけれど、いつも月並みなことしか話せない。
母親相手にも自分が迷子になっていると言ったら、桐谷くんは呆れるだろうか。