「……“仲いい訳でもないのに”って」

「え?」

「なんか腹立つな。俺は俺なりにお前のこと気にかけて、相談のったりしてやったのにさ」

「え、あ、そうだね……ご、ごめんなさい」


たしかに桐谷くんにはすごくお世話になった。
それなのに仲はよくないなんて、失礼な言い方をしてしまった。


「それにさ、お前の話ってつまり、俺とつるんでるって知られたくないってことだろ? 俺とガレージでこうして話してるのも、俺たちの関係も」

「うう、えーっと……」


言葉をオブラートに包まなければそういうことになる。

肯定してしまえば彼をまた怒らせてしまうのではないかと怖くて頷けない。
だけどずっと返事をしないわけにもいかなくて口を開いた。


「……うん。そう、なる、ごめん」


桐谷くんがどんな顔をしているか見えないように下を向く。
なにを言われるかビクビクしていると、隣から「はあ~……」と大きなため息が聞こえた。


「いや、いいよ。べつにわざわざみんなに言う必要もねえよな。つか俺……」


彼に譲歩させてしまったのか、許されてしまった。

桐谷くんはもう別のことを考えているのか、おでこに手のひらを当てて真剣な顔で黙る。

待っていれば続きの言葉が聞けるかと思ってじっと見つめていたけれど、彼はまたため息をついてコンビニの袋を広げ始めた。