仮面を被ってない私なら、ひまわりちゃんのことを笑って、七瀬ちゃんみたいにもっと砕けた雰囲気で接していただろうか。


わからない。

仮面を被ってない自分って、どうやって友達と話してたっけ。

どこからが私のもともとの性格で、どれが私の隠したい部分なんだったっけ。


本当の自分って、いったい――


「ねえ結衣! おねがい、勉強教えて!」

「っえ?」

「あ、ずるーい! 瑠々はひとりでがんばったのにい」

「瑠々はどうせフジュンな理由でしょ! 結衣~、イチゴミルクおごるから! だめ?」


両手を顔の前で合わせて必死なひまわりちゃんに、横でふくれっ面な瑠々ちゃん。
そして、私のことをじっと見つめている七瀬ちゃん。

別に気絶していたわけではないのに、急に現実にかえってきた気がして思わず小さく息を吸った。

そのままいつものように笑って、お決まりの言葉を吐く。


「私でよければもちろんいいよ。イチゴミルクは大丈夫だから、自分に使ってあげて」

「わ~結衣! ほんと天使だよ! ありがとう!」


友達から感謝されることをして、実際にありがとうと言われて。

嬉しいのに、まだ痛い。