私と瑠々ちゃんは似てないけれど、少し似ているなと思うところがある。
それは、自分を愛してくれるひとを求めているところだ。


瑠々ちゃんは家庭環境が少し複雑で、だから幼いころからの愛情不足を恋人で満たそうとしてるんだと思う。

そして私は、仮面を外したありのままの自分でも愛してくれるひとを欲してる。


瑠々ちゃんが恋愛のことで荒れるのは困るし怖いし嫌だけど、彼女の気持ちがわかるから、嫌いになれない。

……明日、学校行きたくないな。


「早坂」
「っえ?」
「ん」


突然名前を呼ばれて、彼が手を出せと仕草で訴えてくる。
なんだろうと思いながら促されるまま手を出すと、さっき食べたラムネ菓子がころころとてのひらに転がった。


「疲れたときは糖分とればなんとかなる」
「え? う、うん、ありがとう……」


糖分でなんとかなる……だろうか。
少し横暴に感じるけど、私のことを心配してくれているのだとわかって心が温かくなった。


「……ふふ、ありがとう桐谷くん」


彼が今ここにいてくれてよかった。
漠然とそう思った。