桐谷くんは、今なにを考えているんだろう。

今日の瑠々ちゃんの様子は、出席していたクラスメイトならきっと誰もが知っていることだ。
それはもちろん彼も入るわけで。

私が瑠々ちゃんにいい顔をしていたのを、桐谷くんも含めてみんな見ていたと思う。
クラスメイトのみんなはきっと、少なくとも私が印象操作したとおりに感じてくれているはずだ。


だけど桐谷くんは違う。
私の本心をもう知ってしまっているから。
瑠々ちゃんに必死にいい顔をして、周りにどう思われるか計算して行動する様子は滑稽に見えただろうか。

それとも。


『……べつにいいんじゃねーの』
『出んのが辛いなら』


私のことを心配してくれただろうか。
だからさっきはああいう風に優しく声をかけてくれた?


……なんて、いいように考えすぎかな。
自分で自分の考えに笑ってしまう。