しばらくして少し落ち着いたかとほっと息を吐く。
すると隣の彼が動いた気配がして目を開けた。


「ん? なに、食う?」


彼が差し出してくれたのは、瓶の形をした中に入っているラムネ菓子だった。


「……ほしい」
「どーぞ」


彼から一粒もらって、ありがとうとお礼を言う。
口にいれると酸味がして、そういえば久しぶりにラムネを食べたと気づいた。


「……桐谷くん」
「なに?」


彼は私を見るだけで、特になにか言いたそうではない。
桐谷くんなら絶対なにか言ってくると思っていたのに。


「……ううん、なんでもない」


そう話しながらも少しドキドキしていた。
今にも瑠々ちゃんに関してのことを聞かれるんじゃないか、言われるんじゃないかって。

でも彼はずっと黙ったままで、そのまま時が過ぎていく。
そのことに驚きながらもほっとする。