まだイライラしてる。
自分が悪いとわかっていても、彼女も悪いところがあると、まるで責任転嫁するみたいに考えてしまう。

だけど私は瑠々ちゃんを羨ましがってるだけだ。
彼女はありのままの自分の感情を怖がらずにさらけ出せるから。
我慢せずとも彼女を愛してくれる恋人が今まで何人もいて、なんだかんだ許して面倒をみてくれる友達がいるから。


勝手に我慢して苦しくなってる自分とは、反対だから。


「……瑠々ちゃん」


彼女が荒れているせいで、周りの席には誰も座っていない。
それをいいことに、瑠々ちゃんの隣の席の椅子を借りて、彼女のすぐ近くに持って行って座った。


「……そうだね、私、瑠々ちゃんの言う通りだと思う。だけど、瑠々ちゃんの話を聞きたいのは本当だよ」

「……なにそれ開き直り? 瑠々、そういうのうっざい!」

「……うん」

「うんってなんなの! どうしてゆいぴーってなにも言い返してこないの! そういうところアイツとそっくり!」


瑠々ちゃんの怒りの矛先が、少しずつ私から元カレへと変わっていく。

そのことにほっとしながら、心臓がずっと痛いのを、今にも泣きそうなくらい苦しいのを我慢した。