小さく息を吸って、彼の目を見て口を開く。


「……コーラ」
「へえー……っ、はは、確かに意外かもな」


桐谷くんは予想外のものでおもしろかったのか、笑いがこらえきれずに吹き出した。


「そういう反応されるから嘘ついてたのに……」

「でも別に悪いことばっかじゃねえだろ、ギャップがあっておもしろいじゃん」


ええ、そうかな……
彼の言うことに素直に頷けなくて、何も言わずじとーっと見つめた。


「じゃあ買ってくるから待ってろよ」

「え、それなら私も行く!」

「はあ? なんで」

「私もお詫びとお礼に桐谷くんにジュース奢りたいから」

「それはどーも。つか、イチゴミルク飲みたくないならもらうけど」

「ううん、飲みたくないわけじゃないから大丈夫だよ。ありがとう」

「そうかよ、ならいいけど」

「だから2本奢るね」

「そんないらねーわ」


桐谷くんと話しながら売店に向かう。

彼の言葉はどちらかと言わずとも優しくない。
そういう相手と話すのはいつもなら気が滅入ってしまうのに、桐谷くんは違う。
その理由を頭の片隅で考えながら歩いた。