もう話は終わりなのかな。
桐谷くんの様子からして、少なくとも嫌われたということはなさそうで、ほっと安心する。

お昼ご飯はもうここで食べてしまおうか。
桐谷くんはどうするんだろうと考えていると、「早坂」と名前を呼ばれる。


「ん」
「くれるの?」


桐谷くんから差し出されたのは、ピンクの紙パックがかわいいイチゴミルクだった。


「お前それ好きだろ。愚痴聞いちまったお詫び」
「え、あ、ありがとう…………」


まさかここまでしてくれるなんて。
私は彼に何も用意してない。
また今度ジュースでもプレゼントさせてもらおう。


――なんて考えてる間もずっと、胸がチクチクと痛い。


彼が善意で用意してくれたものだし、いつものように黙っていればいい。
そうすれば変に気を遣わせることもないし、罪悪感を感じさせることもない。
もともとは私が悪いんだから。

……だけど。