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私、早坂結衣は、同じクラスの桐谷智明と幼稚園のころからの幼馴染だ。
でもドラマや漫画でよくある、仲のいい幼馴染なんかではない。
幼稚園から高校まで、意図せず偶然同じになった。
本当にただそれだけだ。
だから高校受験のとき、まさか彼も同じところを受けるとは思わずとても気まずかったのを覚えている。
受験校ごとに分かれて話を聞くときも入試のときも、受験結果が発表された日だって、一言も彼とは話していない。
友だちよりもずっと遠い縁で結ばれているのが幼馴染の桐谷くんだった。
だけどそんな私たちも仲がよかった期間がほんの少しだけある。
それが幼稚園のときだった。
いや、厳密に言うと、そのときを境目にお互いがお互いを避けていた。
なぜならとんでもない喧嘩をしてしまったからだ。
『このあとしたいと思った役を聞いていくから、どの役がしたいか考えながらお話を聞いてね』
年長のときの担任の先生がそう言って絵本を読んでいる間、私は近くにいた桐谷くんに話しかけた。
『ちあきくん、おうじさまやってよ! わたしにんぎょひめする!』
『うん、いいよ』
私の要求を二つ返事で引き受けてくれた桐谷くんはあっさりと王子様役に決まり、私はじゃんけんで人魚姫役を勝ち取った。
発表会の練習は楽しくて、特に大きな問題もなく進んでいっていたと思う。
しかし最悪なことに一番大きなトラブルが起きてしまったのが、発表会本番だった。
私、早坂結衣は、同じクラスの桐谷智明と幼稚園のころからの幼馴染だ。
でもドラマや漫画でよくある、仲のいい幼馴染なんかではない。
幼稚園から高校まで、意図せず偶然同じになった。
本当にただそれだけだ。
だから高校受験のとき、まさか彼も同じところを受けるとは思わずとても気まずかったのを覚えている。
受験校ごとに分かれて話を聞くときも入試のときも、受験結果が発表された日だって、一言も彼とは話していない。
友だちよりもずっと遠い縁で結ばれているのが幼馴染の桐谷くんだった。
だけどそんな私たちも仲がよかった期間がほんの少しだけある。
それが幼稚園のときだった。
いや、厳密に言うと、そのときを境目にお互いがお互いを避けていた。
なぜならとんでもない喧嘩をしてしまったからだ。
『このあとしたいと思った役を聞いていくから、どの役がしたいか考えながらお話を聞いてね』
年長のときの担任の先生がそう言って絵本を読んでいる間、私は近くにいた桐谷くんに話しかけた。
『ちあきくん、おうじさまやってよ! わたしにんぎょひめする!』
『うん、いいよ』
私の要求を二つ返事で引き受けてくれた桐谷くんはあっさりと王子様役に決まり、私はじゃんけんで人魚姫役を勝ち取った。
発表会の練習は楽しくて、特に大きな問題もなく進んでいっていたと思う。
しかし最悪なことに一番大きなトラブルが起きてしまったのが、発表会本番だった。