「……えっと、ずっと見られてるのは恥ずかしい、かな」
「じゃあ部屋出て行ったほうがいい?」
「……ええっと」


言葉に詰まると、目の前の彼は「ははっ」と声を上げて笑った。


「早坂、嘘つくの下手になった?」
「えっ!?」
「俺でいいなら寝るまでそばにいるよ」


そう言って微笑む桐谷くんはなんだかいつもより優しげに見えてドキッとする。
だけど同時にどうして本音がバレたのかわからなくて焦った。


「ええっと……」
「早坂って意外と素直じゃないところもあるんだなー」


知らなかったとわざとらしげに話す桐谷くん。
それが恥ずかしくてムカッときてしまうのに、もういいやとなげやりな自分もいて。


「……そばにいてほしい、けど」

「けど?」

「……あんまり寝顔は見ないでほしい。恥ずかしい……から」

「ははっ、わかったよ」


そんなの今さらだろと言われるかと思ったけれど、意外にも快諾された。
ツッコまないでおこうと心の底にしまってくれたんだろうか。

そんなことを頭のすみで考えながらゼリーを食べ終わってベッドに寝転ぶと、急激な眠気に襲われる。

うつらうつらしている意識でもそばにいてくれているとわかる彼のぬくもりにほっとした。


「……おやすみ」


彼の言葉に返事できないまま深い眠りに落ちた。